民法大改正の答申案について

2015年02月25日 13:56

民法、特に債権法の分野で大きく改正されることが昨日報道されました。法制審議会の法務大臣に対する答申として、法務省HP「法制審議会―民法(債権関係)部会」の「「民法(債権関係)の改正に関する要綱案」(平成27年2月10日決定)」(以下、「要綱案」とする。)が一昨日掲載されたことを受けて、マスコミ各社で報道されております。

行政書士として法改正には常にアンテナを張っておりますが、新聞報道だけでなく、大本になっている官公庁のHPをチェックすることが肝要だと認識しております。

答申のあった改正部分は約200項目に及んでおりますが、その全容については次のリンク先を見ていただければ法改正の内容が把握できます。

「民法(債権関係)の改正に関する要綱案」(平成27年2月10日決定)

民法(債権関係)の改正に関する要綱案(案) 補充説明

 

大きな改正ポイントは若干前の記事になりますが、2015年1月14日の読売新聞の記事「民法の大改正、ポイントを教えて」がわかりやすいので、項目をご紹介します(カッコ書きは小職の加筆)。

・短期消滅時効の廃止(要綱案P6~9 「第7 消滅時効 3 職業別の短期消滅時効等の廃止」)

・法定利率の引き下げ(要綱案P10~11 「第9 法定利率 変動制による法定利率(民法第404条関係)」)

・損害保険の保険金受取額が増加(要綱案P11 「第9 法定利率 3 中間利息の控除」に関連した一例)

・保証人の保護の強化(要綱案P28 「第18 保証債務 6 保証人保護の方策の拡充」)

・敷金は原則返還(要綱案P56 「第33 賃貸借  7 敷金」)

・認知症の高齢者が交わした契約は無効(要綱案P1 「第2 意思能力」の一例)

・購入した商品に問題があった場合の責任(要綱案P49~50 「第 30 売買 3 売主の追完義務」)

                                                

また、約款については、「消費者の利益を一方的に害する項目は無効」であり、要綱案P48 「第28 定型約款 2 定型約款についてのみなし合意」において

『2 定型約款についてのみなし合意 定型約款についてのみなし合意について、次のような規律を設けるものとする。

 (1) 定型取引を行うことの合意(3において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款の個別の条項についても合意をしたも のとみなす。

 ア 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。

 イ 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめ その定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。 

(2) (1)の規定にかかわらず、(1)の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は 相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並 びに取引上の社会通念に照らして民法第1条第2項に規定する基本原則に反 して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をし なかったものとみなす。』となっています(太字下線は小職による)。

 

ちなみに、「民法第1条第2項に規定する基本原則」とは、「信義誠実の原則」のことです(略して「信義則」ともいいます。)。